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二〇〇六年四月より日本列島を流浪しております。 その記録です。 写真はクリックで若干大きくなります。
 
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8月2日のこと。

■顔面への蚊の襲撃と闘いながら強引に眠りにつこうとしていると突如近くで若い男女の喚声があがり、薄目を開いて見てみたところ、彼らは2コとなりのベンチのまわりで缶ビールを飲みながら花火をしていた。2時だった。人が寝ている5メートル先で花火をするとは何事か。近くで寝ている男は長旅で非常に疲れているということを分かっての狼藉か。ていうか他にもベンチいっぱいあるでないの。もっと海の近く行くとかさ、色々あるでないの。ていうかおれの存在に気付いてる?おれのこと見えてる?僕のこと、もっとわかってほしい、という切なる願いを内に秘め悶々としていると、今度はおっさんのがなり声が聞こえてきて、はっと目覚めた。複数名のおっさんに周囲を包囲されている。5時だった。次々と新たなおっさんがチャリまたは原チャリでこのベンチに乗り付けてきて、皆タバコに火をつけて一様にがなり出す。いつのまにかおっさんの数は10名ほど(体感)に膨れあがった。おっさんはどこかの工場で大量生産されて次々にこのベンチへと送り込まれているらしかった。眠る男と10人のおっさん。イン、大洗サンビーチのベンチ時刻は朝の5時。ていうかこのベンチなんなんでしょう。他にも空いているベンチは無数にあるというのに皆ここに集まって来よる。おかしいでしょう。人が寝てると言うてるじゃないですか。わざわざそこに集合する必要はないでしょう。もう。だいたいおっさんら朝からテンション高すぎですよ。そんな口角泡を飛ばす勢いでしゃべらなくても先方には十分聞こえてますよ。よろしくおねがいしますよ。限界だ、ということでこのベンチを受け渡す決心を固めた僕は起き上がり、荷物を持って他のベンチへ歩き出した。おっさんの一人、製造番号003番が「兄ちゃんよく眠れたか?」と訊いてきたので僕は「ハイ!よく眠れました!」と快活に答えた。

■別のベンチではよく眠れた。花火もなくおっさんも送り込まれてこない。朝なので蚊もいない。明るいのはアイマスクで対応できる。夜眠れなかった分、10時まで眠る。起きると海水浴客がけっこういた。彼らを尻目に駅へ。電車に乗ってとりあえず水戸までゆく。

■水戸思ったより栄えていた。駅周辺の感じが大宮とか静岡に少し似ていた。こういうところではでかいバックパックを背負っているのは恐縮だが、歩いてみた。腹が減っていたので吉野家に入って豚丼に卵をミクスして食った。実に久しぶりの吉野家だった。吉野家はあいかわらずいい仕事をすると思った。それから河原で荷を降ろし、呆けた。呆然とした。暑かったので汚いタオルで時々顔を拭いた。そうしたら鼻血が出た。タオルはさらに汚くなった。

■水戸からJRにて一気に都内まで。車内では寝たり寝なかったり。夢をみたりみなかったり。アビコとかカシワとかそういう駅を越えていった気がする。都に近づくにつれて車内に人が増えていった。巨大な荷を抱える僕はとても恐縮する。あと少しくさいかもしれないので重ね重ね恐縮する。

■北区赤羽に到達。東京で3年間暮らした場所に到着する。ああなつかしいわ。あの頃はよかったわ。お金があって。お酒もいっぱい飲めて。今宵は友人が2人で暮らす家に泊めてもらうことになっている。暫定的にピエレットとジャクリーンと呼ぶことにする。シャワーを拝借し、ピエレットがちょううまいキーマカリーを作ってくれてそれをがつがつと食った。それからビールを1本ずつ飲んだ。沁む。身に沁む。

8月3日のこと。

■いいね、布団のある生活。プライスレス。いや実際プライスは有るのですが。ここぞとばかりにしかりと寝て10時ころ起きた。家主は仕事で出払っていた。食べていいよ、と言われていた韓国のインスタントラーメンをゆでてみる。ものすごく辛いからテイクケア、との言付けがあった。ちょっとやそっとの辛さではあたしはまいりませんことよ。液体スープを投入したらごっつい赤くなった。真紅。エロいルージュの色をしている。へっ、見た目には惑わされないぞ。食った。3口目くらいまでは大丈夫だった。こんなものか。所詮は。テーハミング。敵国を応援する余裕もあった。しかし4口目くらいから、あ、やっぱ辛い。と思って5口目でダメかもしれない。となった。スープをすすってみたら人智を超えたレベルの代物だった。なんてこった。すげえかれえよ。気を取り直して慎重に麺のみを口に運んでゆく。あーこれならなんとかいけそう。でも。このスタイルではこのラーメンとちゃんと向き合ったことにはならないのではないか。ラーメンとは麺とスープの愛の結晶である、という言葉を聞いたことがある。それが今の私はなんだ。このラーメンに対して完全に及び腰になっている。うわべを撫でている。ラーメンに対して失礼この上ない。思いは巡った。そうして、汗やリンパ液やいろんな液体を出しながら、私は完食した。麺を。残った大量のスープは捨てた。だってこのスープ、赤すぎるから。

■借りたチャリを駆って外へ元気に飛び出した昼。北区赤羽からぐいぐいと南下する。日差しがすごいですね。あとこの、ぬわっとした感じ。東京にも夏が来たのだね。発汗に次ぐ発汗。ギーコギーコとペダルを漕ぎ、都内を疾駆する。脳内に流れるミュージックはイエローモンキーで「スパーク」。君とスパーク。ギーコギーコ。夜はスネーク。ギーコギーコ。堀船というエリアで「ただいま 光化学スモッグ注意報が 出されました 外出や 屋外での活動は きょくりょく お控えください」というアナウンスをきく。とても落ち着いたアナウンスだったので、大事ではないのだな、と安心して、屋外での活動を続けた。日暮里とか浅草とかを通って東京駅の方までゆく。御茶ノ水で保険関係の手続きを致す。これが今日の最大目標だった。完遂した。勢いに乗った僕はそのまま秋葉原まで繰り出し、ポータブル・レディオ(こわれかけ)を買うという好プレーをみせた。だって、野営してるとき、人の声が聞きたいな、って、ずっと思ってたから。これからはこのレディオ(こわれかけ)が淋しさを紛らわせてくれるんだろう。

■北上。東大の前を通ってみる。ははーん。これが噂にきく赤門ですな。たしかに赤いですな。知性あふるるレッド。でも今日は赤いのおなかいっぱいなのですよ。失礼。と言って足早に立ち去った。王子まで来て駅前のスーパーで茶の2リットルボトルを購入、4分の1くらい一気に飲んだ。失われていた体内の水分が補給される。渇ききっていたくちびる、指先、瞳、心などが潤いを取り戻してゆく。一命をとりとめて故郷赤羽にまた戻った。

■今日も寝床がある。音楽を聴きながらそうめんを食いテレビをみながらビールを飲む。
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